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株式会社ニッパツサービス 様

株式会社ニッパツサービス様
女性社員研修「“ご機嫌な私”ワークショップ」

  • 女性社員研修
  • カンパニープロフィール

    世界トップのばねメーカーであるニッパツ(連結売上6,932億円)のグループ会社の1社である株式会社ニッパツサービス。ビルメンテナンス事業、環境測定・分析事業、緑化・造園事業、業務受託・物販事業、清掃事業、石油製品販売、不動産業、損害保険代理店、生命保険代理店、情報通信サービス斡旋・販売といった多様な事業を展開しています。
    (企業理念)
    「発展・成長する社会にあってなくてはならない会社」をモットーに、多様なニーズに確かなサービスで応える。

    事例概要

    株式会社ニッパツサービス様は、ニッパツグループの中でも女性社員の比率が高い会社です。日々の業務でも成果を出しています。その一方で、女性社員が「のびのびと活躍する組織風土」になっていないという問題意識から、2021年度、初の女性社員を対象とした研修を企画しました。

    この研修で「やる気スイッチ」がオンとなった女性社員たちが各職場にもたらしたポジティブな影響力は、2022年度の次世代リーダー研修への懸け橋となりました。

    次世代リーダー研修「次世代リーダー育成プログラム」の詳しい内容はこちら

    インタビューのご協力


    取締役常務執行役員 辻 泰昭さん
    不動産部 主管 浅川 数世さん
    IT調達部 主任 服部 葉子さん
    福浦事業所 建設管理部 主任 山本 望さん
    ※所属部署・役職はインタビュー当時のものです。

    研修の背景・概要

    1.研修の背景

    ニッパツサービス様では、2020年に管理職研修を実施しましたが、参加者20名のうち女性社員は1名のみだったそうです。その状況に取締役常務執行役員の辻 泰昭さんは問題意識を持つようになりました。
    「(約半数が女性社員であり)人材がいるのに女性がのびのびと活躍できていないと感じました。そこで初めての試みですが女性社員研修を企画してみようと思い、板谷さんに相談したのが始まりです」(辻さん)

    2.研修の概要

    研修には、「“ご機嫌な私”ワークショップ」というタイトルをご提案しました。このタイトルには、「女性活躍」という一括りで旗を振るのではなく、“元気にそれぞれの能力を遠慮することなく伸ばしてほしい”という思いが込められています。

    タイトルにもあるように、講師による講義が中心の「講義型」ではなく、参加者同士の対話・ワーク中心の「ワークショップ型」で研修プログラムを創ることにしました。

    具体的な進め方や内容については、「(男性社員が介入するのではなく)女性社員主体で決めていくのが良い」(辻さん)という考えから、研修対象者でもある浅川 数世さん、服部 葉子さんがこのプロジェクトにチャレンジすることとなり、当社の板谷が約1年間の伴走をしました。企画・運営を担う二人の「こういう会社だから、こうしたい」という強い思いが、プログラムの充実につながりました。

    最終的には以下の全5回での実施となりました。

    • 第1回:キックオフ「仲間を知る・自分を知る」(2021年11月集合研修)
    • 第2回:未来へ向かって一歩前へ!(2021年12月オンライン研修)
    • 第3回:中間報告・相談会!(2021年12月オンライン研修)
    • 第4回:発表会(2022年3月オンライン研修)
    • 第5回:ふりかえりからさらなる一歩へ(2022年4月オンライン研修)
    ※発表会の前には、希望グループに対してオンライン相談会も実施

    研修には27名の女性社員が参加しました。今回のインタビュー協力者の一人、山本 望さんは育児休業中での参加でした。

    研修の特徴

    特徴1:相互理解を深める「交流の場」としての集合研修

    この研修の大きな特徴として、第1回を集合研修として実施し、参加者同士の対面による交流に多くの時間を割いた点を挙げることができます。これは浅川さん、服部さんらの強い要望で実現したものです。具体的には、職場紹介とグループに分かれての自己紹介を行いました。

    「会社の規模に対して部門が多く、横の繋がりがあまりありませんでした。特に女性の場合、何年も同じ会社に一緒にいるのに、顔を合わせることや会話することがなく、名前だけかろうじて知っているといった状況がありました。これでは強い組織になれないと考え、第1回はまず交流の場にしたいとお願いして、難しい時期でしたがこのようなプログラムとなりました」(浅川さん)
    「最初にお互いをよく知ることができたので、2回目以降はオンラインでしたが、壁がなくなりグループワークがとてもやりやすくなりました」(浅川さん)

    第1回では職場紹介、自己紹介に加えて、「10年後、こんな会社で働いていたい」を考えるグループワークや、参加者が「M式強み診断」を受診し、自身の「強み」(=自分らしさ)と向き合ったり、仲間と強みを伝え合うワークも行いました。自分を認め、お互いの理解を深めていくうちに、場の空気がどんどんあたたまっていき、ついにみんなで立ち上がって模造紙を囲んでわいわい話し合っていました。

    第1回を受講してみて、参加者は研修に対して従来とは異なる印象を持ったようです。
    「研修はあまり楽しいものじゃないというイメージとは異なりました。まさか立ち上がるとは思っていませんでした。やらされ感がなく、自分たちで前向きに取り組めたのがよかったですね。一方で、集中しすぎたせいか最後の方はかなり疲れました(笑)」(服部さん)

    「グループワークがメインの研修と聞いて、そのような研修をこれまで受けたことがなく、自分も含めてみんな大丈夫なのかなという不安がありました。その意味で、最初に参加者同士の交流に時間をかけ、お互いがつながることができたのは良かったです。はじめはグループワークに少し戸惑いましたが、全体をリードしてくれる人が必ず各グループにいて、最後にはまとまってきちんと発表できるかたちになっていたのがすごいなと思いました」(山本さん)

    特徴2:主体的に会社に対する提案を作成し、上層部にプレゼンする

    この研修の2番目の大きな特徴として、第2回以降は自分たちの発案でテーマを決め、各テーマについて会社に対する提案を作成し、プレゼン(発表)するプログラムとなった点を挙げることができます。当初はこのようなプログラムではありませんでしたが、第1回の参加者の反応を踏まえて変更したものです。

    「第1回のグループワーク『10年後、こんな会社で働いていたい』では、興味深くて良い意見がたくさん出ました。そして参加者のなかにリーダー的な存在で引っ張っていける人もいたので、板谷先生からのアドバイスも聞きながら、これを具体的に深掘りすることにしました」(浅川さん)
    「女性社員の立場から会社に何か要望したり、意見を言う機会があまりなかったので、良い機会なので声を挙げてみようという気持ちもありました」(浅川さん)

    第2回以降はオンラインでのグループワークが中心となりました。働き方、職場環境、業務効率化などに関する7テーマが設定されました。グループ分けについては、便宜的に1グループ何名のように分けるのではなく、各人がやりたいテーマのグループに入り、主体的に取り組むことを重視しました。
    「何度もオンライン・ミーティングを行いながら資料をブラッシュアップし、とても大変だったのですが、やりがいはあったし、結果としてとても良い提案ができたという達成感もあります」(服部さん)
    「オンラインで話し合いながら、調整して資料を仕上げていくのは大変でしたが、みんなで取り組んでいることが自分の励みになりました。プレゼンテーションの資料を作ったり、発表したりする機会も良い経験になったと思います」(山本さん)

    また、参加者は他グループの発表からも元気をもらったようです。
    「他のグループの発表もとても良かったので、それを聞くのも楽しかったです」(服部さん)
    「他グループの発表に、『私もそう思います!』と共感できました。女性目線ならではの提案・発表が多かったので、みんなもそう思っている、私だけじゃないんだという安心が結構ありました。普段は離れているけれど思っていることは一緒で、つながっているなと感じることができました」(山本さん)

    研修の成果

    研修参加前と参加後を比較して、参加者に意識・行動面での変化を聞いてみました。
    「研修参加前は仕事上の問題点やトラブルがあったとき、自分本位で解決しようとしていた面があったと思います。それが研修参加後は『こうすれば会社にも利益をもたらす』のように会社目線で解決方法を考えるようになりました。研修中に“この会社”ではなく“私たちの会社”と言うようにアドバイスされたことがとても印象に残っています」(服部さん)
    「『誰かがやってくれる』『誰かにお願いしよう』ではなく『私がやろう』と思うようになりました。グループの発表が『私がやることで、みんなも良くなる』という内容だったので、そこを考えながら仕事と向き合うようになりました。『何かあれば不変じゃなくて変えてもいいんだ、変えよう』という意識が高まりました」(山本さん)
    「座学だけでは学ぶことができない、驚きや喜びの感情を伴ったワークを通じて、多様性の理解が深まりました。良い意味で割り切ることができるようになったので立ち止まっている時間が減り、以前より前向きになったと実感しています。これをステップに、研修で特に心に残っている「強みを活かして一人ひとりがリーダー」として活躍する組織を目指し、自分に出来る役割を果たしたいと考えるようになりました」(浅川さん)

    研修に参加した女性社員たちは、職場でも元気にそれぞれの能力を発揮しています。
    ニッパツサービス様の場合、今回の企画・運営担当の一人、浅川さんが女性管理職として、1つのロールモデル的存在となっています。さらに、もう一人の窓口であった服部さんもそれに続くかたちで、本来、部課長クラスが出席する実績報告会に部門を代表して参加するようになっています。
    「女性社員の場合、浅川さんというトップランナーがいるので、服部さんのように、そこを目指して私も行きますと遠慮なく前に出ていくことは望ましいし、そういう流れが自然とできるのではないかと思います。研修がなければ、女性社員の主体性を引き出せなかったかもしれないし、ポテンシャルも見えづらかったので、その意味でも女性社員研修を企画して良かったと思います」(辻さん)

    まとめ

    今回ニッパツサービス様で実施された女性社員研修は、「仲間とつながる」「自分の考えを言語化する」「思いを共有する」ことに主眼を置いた研修でした。これは業務に必要な知識/スキルの習得に主眼を置く、同社で従来実施されてきた研修とは性格が異なるものでした。

    従来の研修が、社員に不足している能力を獲得する場だとすれば、今回の女性社員研修は、社員がその能力を遠慮なく発揮できるように解き放つ場であったと説明できるのではないでしょうか。

    こういったご機嫌な研修に伴走する機会をいただいたことに心より感謝申し上げます。