人とビジネスのいきいきをデザインする

ウェルネス・コミュニケーションズ株式会社 様

社員が自ら参加し、議論し、策定した、
企業理念<パーパス>の効果
― 会社と社員に、新しい繋がりを生んだワークセッション ―

  • 企業理念 パーパス/行動指針策定
  • カンパニープロフィール

    2003年、伊藤忠商事社内ベンチャー制度によりヘルスサポートシステム事業をスタートしたウェルネス・コミュニケーションズ様。従業員の健康に関するデータを一元管理し有効に活用できる「Growbase」は、大企業を中心に約1500社で導入されています。また、急速な環境変化や多様なニーズが生まれているコーポレート・ウェルネス領域に向けた健康診断一括代行サービス「ネットワーク健康診断サービス」も約900社が導入。創業以来、「企業と人を元気にする。」というビジョンを掲げ、より豊かな社会や生活を創出すべく、便利で、ユニークで、継続してもらえるウェルネス・サービスを創出することを目指しています。

    事例概要

    ウェルネス・コミュニケーションズ様の今日の成長を支えているのは大多数の中途入社社員です。日常の多忙な業務のなかで、社員一人ひとりの多様なバックグラウンドや経験知が発揮される環境がある一方、部門間のコミュニケーションや社員同士のつながりが希薄になっているのでは?という懸念も生まれていました。今回は、創業からまもなく20年を迎えるにあたり、改めて「企業と人を元気にする。」というビジョンや行動指針に込められた意味を、社員自らが見つめ、考え、議論を重ね、だれもが自分事として共有できるようなボトムアップ型の企業理念を創っていきたいという思いから、タンタビーバにお声がけいただきました。今回のプロジェクトを推進された経営企画室のお二人にお話を伺いました。

    インタビューのご協力

    法人営業部 課長 目黒さん
    経営企画室 マネージャー 金鹿さん
    ※所属部署・役職は、インタビュー当時のものです

    社長・役員、そして社員の想いが重なった、理念策定プロジェクト

    目黒さんは創業期からの社員、金鹿さんは数年前に入社ですが、それぞれどのような経緯で、理念策定プロジェクトに関わられたのでしょうか?

    目黒さん:現在の社員を見渡すと、創業当時のメンバーはほとんどいません。創業からもうすぐ20年を迎える今、当社がなぜ今日まで成長できたのか、その経緯や要因など、今の社員にはなかなか伝わっていないのではないかと感じていました。現在、事業も順調で、業態も拡大しているけれど、業界のなかでの認知度もまだまだです。そんななか、「当社に魅力を感じて、入社する人をもっと増やしたい」と思っており、松田社長に「インナーブランディングの強化をやらせてほしい」と伝えていました。

    金鹿さん:入社当時、「企業と人を元気にする。」という当社のビジョンを漠然としたイメージでしか捉えていませんでした。多分、他の多くの社員が私と同じようなイメージだったと思います。ちょうど同じタイミングで、社外取締役から「会社が成長している今こそ、企業理念をもう一度見直して、社員意識のベクトルを合わることが必要なんじゃないか」という提言があったのです。

    目黒さん:松田社長も、そろそろ創業20年を迎えるので「今を第二創業期と捉えて、もう一度社員みんなが同じ方向を向いて事業に取り組んでいく必要がある」と言っていましたし、私もインナーブランディング強化の提言をしていたこともあり、「それなら理念を見直そう!」という話になり、私と金鹿が今回のプロジェクトの担当としてアサインされました。

    目黒さんが松田社長にアピールしていたこと、社外取締役からの提言、そして社長の「第二創業期としての想い」などのタイミングが重なって、今回のプロジェクトを始めるきっかけになったのですね。

    目黒さん:そうですね。社歴の長い私から見て、新しい社員は入社時にWebサイトで当社のビジョンを見てきています。でも言葉としてビジョンを覚えているけど、その意味や目的についてよく理解していないとしたら会社としてマイナスだな、という気もしました。そんなことを思っている時期に、社外取締役からのアドバイスもあり、「なるほど、ウチの会社がどういう方向に向かうべきか…分かりやすい理念が必要だな」と感じました。

    プロジェクト・パートナーは
    私たちの考え方を理解し、伴走してくれる会社に

    では、実際に企業理念を改めて策定するにあたって、特に気を付けたこと。今回のプロジェクトを進めるパートナーにタンタビーバを選んだ理由は何ですか?

    目黒さん:今回のプロジェクトにあたって、パートナー会社を何社か検討しましたが、私たちは理念の策定にあたって担当者の判断で進めたり、経営層だけで決めてしまう…というプロセスだけは避けたいと考えていました。何より、社員が自ら関わり、決めていく…というボトムアップ型のプロセスがいちばん大事だと思っていました。「みんなが決めたことであれば、それを軸にして頑張ろう」となるようにしたい。そのためには当社の背景・現状を理解していただき、私たちと一緒に考えながら伴走してくださる会社様であることが重要でした。

    金鹿さん:比較検討した他社様では、数名の社員が検討・開発する、もしくは委託先が提案するアイデアから担当者が決めるというスタイルが多かったです。タンタビーバ様の過去のプロジェクト事例をいくつか拝見し、全体のプロジェクトのプロセスや目的をていねいにご説明いただいて、一定数の社員が参加するワークセッションなどの進め方に魅力を感じました。

    目黒さん:特にタンタビーバ様からは、「社員自ら物事を決めていくことがいちばん重要です」とアドバイスいただいたことが大きかったです。まず、今回のご提案では、25~30人くらいの社員が参加して、チームに分かれてワークセッションを進めていくというプロセスだったこと。さらには事前の組織サーベイから現在の理念に対する当社の社員意識も示していただけるので、それを理解した上で、いろいろな部門や年代層の社員が参加することで「みんなで話し合って、みんなで決めていける」と思い、タンタビーバ様にお手伝いしていただくことに決めました。

    金鹿さん:人数の多いワークセッションだと、みんなの言いたいことを上手く「言葉」にまとめていくのは難しいのではないか?という不安も感じていました。しかし、プロのファシリテーターやコピーライターが同席してくださって、私たちの意見を言葉に置き換え、アドバイスをしてくださるという提案をいただき、いろいろな方向が見えていいな、と感じました。

    セッションに参加する社員メンバーの選定は、どのようにされましたか?

    目黒さん:ワークセッションに参加する社員は、当社の各層のメンバーを27名招集しました。東京と大阪、役職や担当部署、年齢層の幅もできるだけ均等に分け、男女比も考慮し、多彩なメンバーを選ぶことができたと思います。タンタビーバ様から「セレクトの条件は一定にしなくてはいけない」とアドバイスをいただいたので、メンバー選考にはかなり気を遣いました。

    会社の「存在意義」や「ビジョン」への、
    社員の多様な想い、意見が活性化したワークセッション

    実際にワークセッションが始まって、どのような印象を持ちましたか?参加した社員の皆さんの意識変化など感じられましたか?

    目黒さん:当社では「会社の理念をみんなで考える」というワークセッションは初めてなので、参加メンバーは最初、どういうことをするのかよく分らなかったと思います。でも「やりたくない」とか「面倒くさい」という消極的な反応はありませんでした。ただ、コロナ禍だったので、大阪チームが東京に来るのが大変だとか、グループセッションが重要なので、社内での場所の確保とか移動時間をどうするか…という運営上の懸念が大きかったですね。

    金鹿さん: 27名を5チームに分け、それぞれ自分たちでチーム名を付けてスタートしましたが、全3回のセッションを進めていく過程で、チームのカラーがしっかり出てきて、とても新鮮に感じました。同じ会社の仲間が、チームによってまったく違う視点、違う言葉で考えていることがとても興味深かったです。

    <組織サーベイ「Fangrow」の診断報告書>

    目黒さん:ランダムに集められたメンバーがチームとなることで、こんなに個性が出るのだ、と驚きました。特に事前の組織サーベイ「Fangrow」で、「各部門や年代によって理念への理解や浸透度合が異なっている」という調査結果を踏まえ、積極的に問題提起する人や意外な視点から意見する人、いろいろな角度のディスカッションによってお互い影響し合い、理解し合っていくんだな…と実感できました。そういう個人とチームの変化を客観的に見ることができてとても面白かったですね。

    セッションは、全部で3回ありましたが、特に第2回から第3回にかけて、メンバーの議論が盛り上がったように感じました。

    金鹿さん:とても白熱していました。第2回のセッションで検討されたさまざまなことが、次の回では具体的な言葉になってアウトプットされました。ディスカッションを進めるたびに変わるメンバーの意識が興味深かったです。

    目黒さん:初回から第2回目にかけては、みんなちょっと適当な感じがあった(笑) その頃は、だれもゴールをイメージできず、みんな好き勝手なことを言っていたけど、最後はみんなエンジンがかかって議論が高まっていきました。メンバーによっては、いろんな言葉に触発されたり、面白がって発した言葉もありましたが、どれも間違いではなく、「あぁ、こういう考えもありだよね」という気づきも多かったです。

    各チームで紡ぎ出された言葉が、
    さまざまな議論を経て新しいパーパスへ

    最終回のセッションが終わり、各チームから出た言葉をタンタビーバが集約し、「新しいパーパス」としてご提案しましたが、参加メンバーの反応などはいかがでしたか?

    目黒さん:そこは、自分たちが考えてきた言葉のイメージとは違和感があったと思います。多くのメンバーは、タンタビーバ様から今風のカッコいい言葉がポンポン出てくるとイメージしていたと思います。

    金鹿さん:「なんか意外と地味だね…」とか、「どれも正しいのだけど、ちょっと違うような気もする…」といった感想もありました。おそらく、セッションの中で出てきた言葉が、キャッチコピーのような奇抜な表現に変わるのでは?という漠然とした期待感があったのだと思います。

    目黒さん:でも私たちは、タンタビーバ様が提案してくださった言葉は、私たちがセッションを通して紡いできたいろいろな言葉の集約であり、「そもそも私たち自身が、そういう刺激的で今風のカッコいい言葉、驚くような表現を目指しているのか?それが大切なことなのか?」、メンバーとは「私たちの理念に、そういう言葉は必要ないのではないか?」という話をしました。

    金鹿さん:パーパスを策定する過程で、経営層も社員も「会社が今後どういう方向に向かっていくのか」ということを、お互いに深く考えるようになりました。企業理念について、改めて「本当にこれでいいのか」と考えるきっかけになったと思いますし、こういう機会がなければ、企業理念について考えようとすることもなかったと思っています

    理念は掲げるだけではなく、
    社員みんなが自分事として理解し、行動するもの

    パーパスを含めた今回の新しい理念体系を、今後どのように社内に根付かせていきたいですか?

    金鹿さん:2023年1月に社内に新しいパーパスと行動指針を発表しました。その後2023年5月に開かれた全社員総会で改めて発表するとともに同日のチームビルディングイベントにて「皆さん、新しいパーパスを覚えていますか?」と問いかける企画を仕掛けています。また、当社の評価制度(MBO)において、目標を新しいパーパスや行動指針に基づいて設定するなど、他にもさまざまな施策を検討しています。

     

    <まとめられた理念体系>

    目黒さん:私は今回のプロジェクト後に部署を異動したのですが、MBO作成のマニュアルがきて「あっ、ここにパーパスが入っている!」と、嬉しい感慨がありました。

    今回策定されたパーパスを積極的に発信し、率先して浸透活動しているのは、実は松田社長ご自身だそうですね。

    目黒さん:特に松田が言っているのは、外部委託をしているパートナー企業のコールセンターは、電話に出るときには「ウェルネス・コミュニケーションズです」と言うので、そこでも私たちのパーパスや行動指針の想いが共有されなければならない、ということです。事業に関わるすべての人が、「私たちはこういう方針の下でやっています」ということを、パートナー企業にも派遣の方も含め、全員に共有していただくことが重要だということです。

    金鹿さん:社内的にはまだまだ浸透しているとは言えません。コーポレートサイトもこの8月に刷新したばかりですし、本格的な浸透はこれからかと思います。経営企画室でもパーパスや行動指針を絡めた企画をいろいろやっていこうと考えています。

    ワークセッションで育まれた、
    社員同士の相互理解という、大きな財産

    今後、新たな理念体系が浸透することで、社員にはどんな変化が起きてほしいですか?

    目黒さん:今回のワークセッションのおかげで、それぞれのチームが活発なディスカッションが生まれ、今までなかった他分野の社員との相互理解も生まれ、社員同士の距離も近くなったと思います。デリケートな結果処理を専門にしている人もいるし、クラウド事業分野の人もいて、それぞれ仕事によって考え方や視点が違うなかで会社が目指す方向を話し合えたことは、今後の財産になるはずです。

    金鹿さん:今回のプロジェクトでは、プロセスはいろいろ苦労もありましたが、最終的にウェルネス・コミュニケーションズらしいパーパスと行動指針ができたと思っています。社員みんなの方向性が一致し、目線を合わせることができれば、会社は必ずいい方向に向かうと思いますし、一人ひとりが当社の社会的な存在意義や役割を理解して、行動指針にのっとって仕事に取り組み、みんなで未来に進んでいけたらいいな、と思っています。

     

    <理念体系をまとめた「理念ブック」>

    目黒さん:今回の新しい理念体系を「理念ブック」にまとめました。その制作過程でも「この言葉は足した方がいいのか、削った方がいいのか…」、タンタビーバ様と多くのやり取りを経て完成しました。また行動指針も、社員に伝わりやすいようアイコンを作って行動指針を「見える化」するなどの工夫も加え、身近で分かりやすいものにできたと思っています。かなり長期のプロジェクトとなりましたが、時間をかけ考え抜いたことで、いろいろな面で良い結果が生まれたと思っています。タンタビーバ様には長い間、手探りの私たちに伴走していただきとても感謝しています。