人とビジネスのいきいきをデザインする

理念経営

「ホワイト企業大賞」表彰企業のいきいき組織づくり 【3】~「学び」が生まれる組織づくり(前半)

【カンパニープロフィール】
1970年に「道頓堀ホテル」を開業して以来、ホテル業を展開してきた株式会社王宮(本社:大阪府大阪市中央区)。現在ではブリッジホテルグループとして「道頓堀ホテル」をはじめ、「ザ ブリッジホテル心斎橋」「大阪逸の彩ホテル」「沖縄逸の彩ホテル」「天一ホール」を運営しています。約55億1千万円(2024年4月期)、従業員数約220名。

《経営理念》
誠実な商売を通して、心に残る想い出づくり
《ビジョン》
共に幸せと誇りを感じる会社
《私達の使命》
私達は日本と世界の架け橋になります

2023年度にはホワイト企業大賞として表彰された株式会社王宮様の“いきいき”を紹介する3回シリーズ。ラストとなる第3回では、「学び」が生まれ、社員が成長しやすい組織づくりのポイントを掘り下げます。

1.学んで、挑戦して、成長する

王宮での学びの機会について、岡さんが説明してくれました。
「『学び』を大切にしている会社です。新入社員研修や職場に配属されてからのOJTも充実していますし、語学学校の授業料補助や資格取得支援もあります。また、本人が希望し、会社が了承してくれれば、少し費用が高めの外部研修も会社負担で受講できます。私も希望してマネジメントの研修に参加しました」(岡さん)

また、外部で学んだことが仕事の成果につながった自身の成功体験についても語ってくれました。
「社歴に関わらず、意欲があれば『どんどんチャレンジしていいよ』と挑戦を応援してくれます。昨年、私も外部研修で学んだことを活かし、それまで管理職やベテランスタッフしか操作できなかった、道頓堀ホテルの管理システムのマニュアル化に挑戦しました。その結果、作成したマニュアルが現場に定着して、新入社員を含むフロント全員がシステムを操作できるようになり、売上向上に貢献することができました」(岡さん)

この成果を会社も評価し、岡さんにさらなるチャレンジの場を用意しました。
「現在は大阪逸の彩ホテルに異動となりました。この店舗でもシステムを一部スタッフしか操作できないという課題を抱えているので、マニュアル化に挑戦し、全員がシステムを操作できるようにしたいと考えています」(岡さん)
マニュアル化の成功体験が岡さんに成長実感と自己効力感を植え付け、それが次なる挑戦(現在の店舗のマニュアル化)への意欲を高めているのでしょう。

※自己効力感
「やればできる」という感覚。自己効力感が高まると、挑戦に対する心理的なハードルが下がる。

岡さんの話を整理すると、以下のような学び・成長の好循環が形成されていると説明できます。

2.1年間の成長を振り返る同期メンバーとの合宿

王宮では毎年同期メンバーと専務で1泊2日の合宿を実施しています。合宿ではこの一年間で自身が頑張ったこと、感謝したことなどの振り返りや今後の目標などを一人ひとり発表します。

合宿での成長実感について、崎島さんにお聞きしました。
「発表のためのプレゼンテーション資料を作成しながら、この一年間自分が何をしてきたのかを振り返ると同時に、去年からの成長度合いを実感しています。また、他の同期メンバーからのフィードバックももらえるので、自分が気づいていなかった自分の成長を確かめることもできます」(崎島さん)

昨年の合宿では支配人にもプレゼンテーションを聞いてもらえたそうです。
「それまでも何度か支配人と面談する場面はあったのですが、支配人が自分をどのように評価しているのかという不安もありました。そんな中、支配人からプレゼンテーションに対するフィードバックをいただきました。『こういうところが崎島さんいいよね。それ以外にも良いところがあってすべて言い尽くせないけど、本当にありがとう』という支配人の言葉に、私もホテルの一員として貢献できていると成長を実感できました。第三者から自分の成長を認めてもらえるのは大きな自信になりますね」(崎島さん)

岡さんにもお聞きしました。
「私も合宿でのプレゼンテーションは貴重な振り返りの機会だと思います。プレゼンテーションを発表して終わりにするのではなく、それを踏まえて次に何をすべきかを考える良い機会とも捉えています。また、毎年他の同期のプレゼンを聞いて刺激をもらっています。他店舗の状況や取り組みを知る機会にもなるので、各人が他店舗の良いところを自分の店舗に持ち帰ることがきる交流の場としても意味があると思います」(岡さん)

3.自主勉強会の課題レポートを専務がコメントしてフィードバック

王宮では毎月、「理念と経営の勉強会」・と称した社員の自主勉強会を開催しています。月刊の中小企業向け経営誌を教材として活用し、社員が持ち回りで課題を作問し(5問程度)、参加者で話し合うものです。また、各人の解答(A4用紙1枚程度)を提出し、専務である橋本さんが一人一人に手書きで赤字コメントを入れて後日フィードバックしています。

「社員が一堂に集まるのは難しいので10グループに分けて運営しています。教材としている経営誌には、経営テーマについての特集記事、企業の成功事例、経営者へのインタビューなど、さまざまな記事が掲載されています。これを題材に担当となった社員が課題を作問しています。最近では入社2年目の若手社員も作問しています」(橋本さん)

実際に赤字コメントを入れた課題レポートも見せていただきました。
「これを10年以上続けていますが結構大変なんですよ。今ですと毎月約80名分の課題に、30時間くらいかけてコメント入れています。基本的にはポジティブなコメントしか書きません」(橋本さん)
毎月30時間かけてコメント入れることは、なかなか真似できることではありません。社員と真摯に向き合おうとする橋本さんの経営者としての熱量を感じます。

毎月の課題提出は、理念や経営についての教育以外にも役立つそうです。
「毎月、社員と私が交換日記しているようなものですから、悩みがある人がいればわかるし、その書きぶりの変化から社員の成長度合いを把握することもできます」(橋本さん)

課題提出が教育ツールのみならず、経営者と社員のコミュニケーション・ツールとして機能しています。毎月のコミュニケーションを通して、経営者(橋本さん)は社員の現状を把握できます。また、社員は橋本さんのコメントを見て、「自分のことを見てくれている」「自分のことを気にかけている」という心理的な安心感を得ていると推察します。

あわせて読みたい関連記事

いきいき組織についての
お問い合わせは こちらより

いきいき組織への変革を見える化する
組織サーベイ

社員の「自社ファン度」を見える化し、
未来の組織づくりに活かす

自社ファンが会社を強くする

fangrow
「自社ファン度」組織サーベイ〈ファングロー〉