人とビジネスのいきいきをデザインする

株式会社両備システムズ 様

いきいきキャリア研修「わたしの未来は私がデザインする」
〜Ryobi Systems Group Way「目指す人財像」で考える私らしさ〜

  • 人材育成・組織開発
株式会社両備システムズ

カンパニープロフィール

1910年に岡山県岡山市に西大寺鐵道として創立され、以来、100年を越える歴史の中で水平に垂直に事業展開を進め、現在は50社を超え、従業員数約9,500人を擁する両備グループ。そのICT部門である両備システムズグループは、独自分野に専業特化した情報関連企業で構成され、互いに連携することにより、お客様にトータルソリューションを提供しています。

事例の概要

両備システムズ様から、初めて「女性活躍推進に向けた研修」のご相談があったのは、2016年12月のことでした。当時、両備ICT部門全7社の社員数1,345名(うち女性255名、管理職女性比率2%)と女性社員の割合は少ないものの、制度が整備され、女性の採用比率が上がり、女性の育休取得率がほぼ100%になったという状況下でのご依頼でした。
女性社員に少し消極的な部分を感じていらっしゃった人財戦略部教育グループ(現:人財開発グループ)様の、主体的に周りを巻き込み、「自分から変わっていこう!」「自分たちでもできる!」と気付き、前向きに楽しく元気にパワフルになって「女性のパワーで会社を元気にする」ベース作りがしたい!という目的の達成に向け、2017年から、タンタビーバが二人三脚で研修を続けています。
研修の企画・運営をしている人財開発グループのお二人と、2018年の研修にご参加いただいた管理職お一人、女性参加者お二人に話をしていただきました。

Ryobi Systems Group Way

両備システムズグループの価値観の共有や社員一人ひとりの行動指針として定めたものです。
https://www.ryobi.co.jp/company/philosophy

インタビューのご協力

  • 株式会社両備システムズ 様  経営推進統括部 人財戦略部  人財開発グループ  グループ長  三宅 生子さん
  • 株式会社両備システムズ 様  経営推進統括部 人財戦略部  人財開発グループ  スペシャリスト  三上 紀子さん
  • 株式会社両備システムズ 様  社会保障事業部 システム部  第1システムグループ  グループ長  愛甲 武志さん
  • 株式会社両備システムズ 様  社会保障事業部 システム部  第1システムグループ  スペシャリスト  瀬戸山 敬子さん
  • 株式会社両備システムズ 様  社会保障事業部 ソリューション部  中四国フィールドグループ  スペシャリスト  板谷 鮎美さん
  • ※所属部署・役職はインタビュー当時のものです
  • 第1システムグループ
    グループ長 愛甲 武志さん
    第1システムグループ
    スペシャリスト 瀬戸山 敬子さん
    中四国フィールドグループ
    スペシャリスト 板谷 鮎美さん

    女性は、どんな研修を受講するんだろう?
    いままでとは違う研修みたい

    ご自身の部下の女性が受講する研修に「参加するように」と声を掛けられた時のお気持ちをお聞かせください。

    愛甲武志さん:まずは、女性特化の研修というものが初めてだったので「どういうものか?」という期待と不安が入り混じった状態でしたね。それと、よく女性と男性では考え方や行動が違うって言われてるところもあるので…。興味津々で参加しました。カリキュラムを見ながら、自分たちが出る意義を考えて、受けてみたいと思いました。

    それでは、受講者のお二人にもどんな気分で研修当日を迎えたのかをお聞かせいただけますか。

    板谷鮎美さん:女性の活躍が今の時世というなかで、キャリアアップをさせる研修の位置づけなのかなぁという不安、一方で、管理職も一緒にという、今までとは違うような研修なのかなぁという期待も少しありました。

    瀬戸山敬子さん:事前に、ライフイベントによって働き方、生活が左右されやすい女性向けの研修ということで、まさに結婚、出産を経て、今、仕事をしている私は、どんなことをするんだろうって期待がありました。事前準備の「強み診断」とか、なぜか持参物に「雑誌を持ってきてください」とか、いったい何をするんだろう?と。おもしろそうだなって気持ちで参加しました。

    指示の出し方とか、工夫をしたい

    そして、いよいよ、午前のパートにオブザーブ参加されたわけですが、いかがでしたか?

    愛甲さん:なるほど女性たちの思考は、こうも違うのかと改めて思いましたね。女性は突っ走るんじゃなくて、じっくり構えて、臨機応変にいろんなことにきちんと対処できるってこと。一直線で突っ走る、自分に当てはまる男性っぽい仕事の仕方とは違う。今後指示の出し方とか、工夫したいなって研修を聞きながら、ずっと考えていました。

    で、実際に?(笑)

    実際に…全部はできてないですけど、意識はするようになりましたね。男性にはラフに仕事を依頼するけど、女性にはできるだけ丁寧に仕事を依頼するとか。気持ち的にね、実際に行動に現れてるかは…(笑) あとは、なんで自分の言ってることわかってくれないんだ、じゃなくて、考え方が違うんだな、と。結構きつく言われることもあるんですが(笑)、そういうことなんだなぁ、と。

    自分が楽しむ
    みんながそれぞれの強みを伸ばす

    それでは、まさに対象者として研修に参加されたお二人は、いかがでしたでしょうか。

    板谷さん:職場では、結論から言うように新人の頃から言われていたのですが、その理由がわかり、納得しました。あと、男性社会のなかで女性ががんばっていくって、やはり見た目は女性でも、男性のようにならないと仕事はできないな、って、いつの間にかそんな風になっていたような気がするんです。だけど、それだけじゃダメで、ワークライフバランスとか、自分が楽しむっていう考え方は大事だな、と思いました。

    瀬戸山さん:まず一番に、先生(注:タンタビーバの板谷和代)がすっごい元気だったので (笑) 先生みたいに元気で活発な、こんなにいきいきと仕事を続けている女性もいるんだなって、そこに驚きというか(笑) あとは、自分の強みを活かしていきましょうって話。これまでは、自分に足りない部分をどうやって伸ばしていくかに着目していた。だけど、今回は強い部分、いいところを活かしていきましょうと。これは、目からウロコでした。「あ、自分にもいいところがあるんだな」って、後押しされたというか、元気づけられましたね。それと「仲間への感謝」という表現で、いろんな考え方の人がいるからいいんですよっていうのも、すごく納得しました。ただ、職場のみんながこういう思いにならないと、職場の環境が変わっていくというのは簡単ではないので。ぜひ、受けていない人たち、女性に限らず、管理職も一般男性社員も受けたらいいんじゃないのかな、ってすごく思いました。

    期待に男女差はない
    一人で抱え込んで辞めちゃおうかな、はもったいない

    この研修を終えて、女性社員に対する期待って変わりましたか?

    愛甲さん:私は、もともと男性、女性って仕事においては区別はしていないです。そもそも男性、女性半々ぐらいの組織ですし。説明のやり方は考えようと思いましたが、期待は男女に変わりない。ただ、研修後、男性管理職同士で「あれ、よかったね」と、結構話題になりましたね。考え方の違いとか、意識した方がいいよね、と。それと、女性は、結婚して出産して、それで休職だったりとか退職だったりという道があるのですが、そこをお互いに相談しあうこと、情報交換することによって、同じ境遇で協力すること、自分一人だけじゃないんだって気持ちになれる。それで、仕事を10年、20年続けていくということができていくんじゃないかな、と感じたので、そうことはいいことだなぁって思いました。やはり一人で抱え込んで会社辞めちゃおうかな、は残念だから。

    管理職だけじゃなく男性の同僚も一緒に 私たちも同じように活躍する仲間

    今回、研修を管理職の皆さんが一緒に受けたということに対して、何かお考えをお聞かせいただけますか。

    板谷さん:同じ場で同じ話を聞いてもらうのは、いいなと思いました。私たちが、そうだなぁ、って感じていることを、同様に感じて貰えたらいいなって思っていました。だから、管理職もですが、もっと関わりのある男性の同僚たちにもぜひ受けて欲しいな、と思いました。男性が、女性の考え方とかをどう見ているのかも聞いてみたいですね。

    瀬戸山さん:同じ研修を受けて貰って、女性への理解が深まるという安心感がありました。いままで、男性って女性の扱い方を丁寧にしたり、パワハラとか気にしていらっしゃるのかな、丁寧すぎるというか、どう扱ったらいいのかわからないのかなという方が結構いらっしゃって。だから、これを受けることで同じように活躍する仲間なんだって思ってもらえるようになるんじゃないかな、と思いました。

    意識の変化
    行動の変化

    研修からまもなく一年が経とうとしていますが、何か変化を感じていますか?

    板谷さん:一番強く感じているのは、意識の変化です。研修では、診断結果の強みに加えて、同僚や上司からの教えていただいた強みを知り、ポジティブな気持ちになれたし、自分自身を改めて理解することができました。それと、他の人との違いは、異なる強みなんだって意識で考えることが大切だと気づきました。それぞれの強みを活かすこととか、共感するとか、許すということで協力をしてもらえるようになりました。まだ、意識だけで、出来ているかは、わからないけど。

    瀬戸山さん:まず、強み診断で自分にもいいところがあるんだ、って気づけたので、後輩と接するときに、できているところは褒めてあげよう、と心掛けるようになりました。次に、グループワークが多い研修で、女子会のような雰囲気で進んでいたんですけど、他部署の女性とあんなにじっくり話すことがなかったので、親近感がわいたというか、仲間がいるというか、みんな工夫して頑張っているんだなって知ったことが、ずっと励みになっています。

    信頼関係に基づく仕事
    後輩女性のキャリアイメージのために

    では、ここでキャリア展望をお聞かせください。

    瀬戸山さん:まず、強みに「情」とか「気」があるので、一人でガンガン仕事を進めるというよりは、チームワークの輪をつくるような立場にありたいな、と思いました。もうひとつは、若い女性が多くなってきているので、結婚とか出産といったライフイベントを経ても、仕事をし続けるというイメージがつくように、道をつくるなんて大それたことじゃないですけど、そういう前例になれたらいいなと思います。

    板谷さん:強みに「和」、「敬」があるんです。お客様と関わる仕事なので、お客様と程よい距離感で、しっかりサービスを提供することで信頼関係を築いて、お互いにとってメリットのある仕事をしていきたいな、って思います。

    ぜひ、がんばって!

    最後に、このようにキャリア展望を語る女性社員に向けてのエールをお願いします。

    愛甲さん:今回の研修に参加して、改めて自分のキャリアを見つめ直し、そこで、自分自身がこうありたいって、ある程度具体的なところが見えてきたのではないかと思うので、ぜひ、がんばってください!

  • 人財開発グループ
    グループ長 三宅 生子さん
    人財開発グループ
    スペシャリスト 三上 紀子さん

    「女性のパワーで会社を元気にする」ベース作り

    研修依頼のきっかけ、背景についてお聞かせいただけますか。

    三上紀子さん:もともと、女性活躍推進法がきっかけなんですが、在宅勤務とかフレックスとか、制度が整っていなかったので、それを整えていこうよ、と。その一環で研修もしようってことになったんです。202030に乗っかったって感じですが、かたちだけ入っちゃったから、ロールモデルもいないまま、始まっちゃった。なかなか率先して研修を受ける人もいないし、制度を利用する人もいないし、って感じでした。いまは、ちょっと変わってきてますが。

    三宅生子さん:そう、女性向けの研修はやっていたんです。けれど、なんか元気がない、そんな状況のうちに合わせたような研修にちょっと変えたいな、と思っていたんです。「女性のパワーで会社を元気にする」ベース作りがしたかったんです。

    Wayの浸透も研修に組み込む

    なぜタンタビーバに決めていただけたのでしょうか?

    三宅さん:そもそもWayの浸透に悩んでいる時に、Webで板谷さんの記事(注:前職時代のもの)を読んで「絶対にこの人に会いたい」って思って、会いに行っちゃいました(笑) だから、最初はWayの浸透のことでお話をしに東京に行って。その後、女性の研修のことを考えていた時に そういえば、板谷さんなら「元気にしてくださるんじゃないかなぁ」と思ったのが、今回の研修をお願いしたきっかけです。だから、女性のキャリアだけど、Wayも研修に組み込んでいただいたんです。

    女性のキャリア研修に男性管理職が参加

    Wayと楽しい気分の方程式がうまく一致したんですよね。これは、新しいパターンでした。さらに、両備ICT部門さまの研修の特徴は、二回目の改革、つまり、午前のパートに管理職(30名、内女性1名)が教室後方にズラーっと参加したってことだと思うのですが。

    三宅さん:そうですね。それは、一回目のアンケートに現れた、女性社員向けの話を管理職に知ってもらいたいって声の多さですよね。板谷さんに伝えたら、すぐに「じゃあ、やってみましょう」って。先程のインタビューを聞いていて「あぁ、やってよかったんだぁ」って改めて実感できました。

    女性だけ集めて、あそこ(教室)で何やってんだ?!じゃなくなったのは、大きかったですね。

    三宅さん:そうですね。本当にやってみてよかった。さらに、先程の三人の話を聞いていて、もう少し対象者を広げる方がいいかな、って。そう、次回は、やってみたい!

    三上さん:やってみないとわからないですからね。

    三宅さん:ただ、あの参観日方式じゃなく、もう少し関わり方を変えようかなって思いましたね。

    筆者注:2019年は、これらを踏まえて検討し、各グループに管理職が入っての対話も実施。

    元気・楽しい・殻を破る

    「元気」というのがキーワードのひとつでしたが、研修企画者として、研修を通じて女性社員の皆さんにこれを伝えたい!という思いは、他にありましたか?

    三宅さん:私が板谷さんにご相談したときに、「みんな、つまらなそうに見えるんです」ってお伝えしたら、「つまらなそうじゃなくて、つまんないんですよ」って言われて、「あ、そうなんだ!」って。会社がつまらないのは、嫌だなって私は思うんです。会社は楽しいところと思ってもらいたいんです。あと、板谷さんのキャリアはなかなか真似できなくて、ついてこれない人もいるかもしれないけど、殻を破ってもらうために、こういうことができるんだよ、って伝えたかったんです。あの人は違うって言い訳にするんじゃなくて、自分の範囲でできることがあるでしょう、って。

    育休明けに一受講者として参加 働く自分を主語にして語る場

    三上さんは、この研修の第1回目(2017年)は、育児休職中だったんですね。

    三上さん:そうなんです。復職したら、三宅から「とにかく先生がおもしろいから」って言われて(笑)。よくわからないまま、2018年は一受講者として参加しました。ただ、立場上㏄で入ってくるお二人のやりとりのメールに気になるキーワードがどんどん、どんどん飛び交っているし、雑誌とかハサミとかを準備するってなんだろう?って思っていました。育休前に、女性向けの研修を初めて実施したり、数多くの研修を見たりしてきましたが、大きく違ったのは研修を終えたみんなの足取りがものすごく軽くて、元気をもらって帰っていくなぁってことでした。

    三上さんは、研修で立てたプランを行動に移しましたよね。

    三上さん:移しました!研修中に貰ったグループのみんなからの励ましを、ことあるごとに見て奮起し、キャリアコンサルタントに合格することが出来ました。今度フォローアップ研修でみんなと一年ぶりに会えるのが、すごく楽しみです。社内のワークパパ・ママ(プレを含む)が集う「育児カフェ」というのがあるんですが、そちらは主語が子どもや家族なんです。だから、この研修のように働く自分を主語で語れる場がありがたいです。受講してみて、今後は、企画にも携わっていきたいと思っています。

    研修をイベントにしない

    では、最後に実施後の感想、今後へ向けてのお考えをお聞かせください。

    三宅さん:実施後の受講者の声って、終了直後のアンケートも改善のために役立ちますが、研修の効果の継続をもっと考えていきたいですね。半年後にメッセージを送ったり、その後の状況やエピソードをきいたり。

    三上さん:技術系の会社だからなのか、どうしても知識を教えて欲しい、即効性のあることを教えて欲しいというところがあって、キャリア研修のようなものって目新しいことを教えて貰わなかったという人もいるんです。だけど、話したり、聴いたりしながら、もやもやしたり、気づいたことを行動に移す、習慣になるようにしていきたいなって思います。

    私は、受講者として、強み診断で自分らしさがわかりました、みなさんから温かいメッセージをいただきました、自分なりに大作のコラージュも作りました、わーい!って帰りました。ところが、そこはいつもの仕事の場所なんです。日常に戻ってしまうんですね。熱量が高いままは難しいかもしれないけど、維持できるように人財開発グループとして仕掛けをつくっていきたい。

    三宅さん:アンケートで得られたデータをもとに、研修前後の受講者に対する管理職のフォローの大切さを、これからももっと伝えていかなきゃ!研修をイベントにしないために。