人とビジネスのいきいきをデザインする

いきいき・のびのび

太平洋精工株式会社様
人と組織を「いきいき・のびのび」させる空間づくり(後半)
~PEC PARKが示す「オフィス×工場」の新しいカタチ~

【カンパニープロフィール】
1961年設立。岐阜県大垣市に本社を置き、自動車用ヒューズのリーディング・カンパニーとして国内・海外でトップクラスのシェアを誇る太平洋精工株式会社(PEC)様。海外にも生産・販売拠点を持つグローバル企業であり、自動車用ヒューズ以外に精密金属プレス加工・金型製作も行っています。2023年3月期の売上高(単体)234億円、2023年6月1日時点での国内従業員数411人(グループ全体967人)。

《ビジョン:PECが未来に向けて持ちつづける志》
独創性を追究し、安全・快適なクルマ社会の「新しい流れ」を創りつづけます

PEC PARKになってからの働き方の変化を尋ねたところ、工場、オフィスともに「コミュニケーションの活発化」が一番に挙げられました。

PEC PARK最大の特長は、「同じ建物内で工場とオフィスがシームレスに繋がっている」点です。
「オフィスが近くなって、ちょっとした不良が発生したときに、連絡してすぐ工場に来てもらえるようになりました。物理的距離だけではなく、心理的にも気軽に声がけしやすくなりました」(水谷さん)
「私の場合、工場とオフィスを行き来する必要がある仕事ですが、以前は両者が異なる場所にあったので、移動の時間を要していました。工場とオフィスが一体化したことで、単純に近いのですぐ見に行けるし、呼ばれてもすぐ行けるようになりました。何かあれば現場を直接確認しやすくなったことで、精神的な不安も少なくなりました」(中村さん)
新しい工場になって、工場内のコミュニケーションも活発になりました。
「工場内の他部署との繋がりもできて、情報交換するようになりました。また、工場の通路が広くなったことで、人を探しやすくなりました。たとえば、今上司がいるというのがすぐにわかるので、何かあれば相談しやすくなりました」(水谷さん)

インタビューの様子

オフィスにおいても、柱やパーテーションのない広々とした1フロア1スペースのフリーアドレスオフィスになったことでコミュニケーションが活発化しています。
「(毎日席が変わる)フリーアドレスによって、他部署との交流も増えました。それまであまり関わりがなかった人と顔を見合わせることで、繋がりができました。また以前は電話で済ませていたところが、顔を合わせて会話することで、喋りやすく、伝わりやすくなりました」(土屋さん)
「1フロア1スペースで仕事することになってから、自分から積極的にコミュニケーションをとるようになりました。
直接顔を合わせてやりとりをすることで、迅速に問題を解決できるようになりました、同時に、一歩踏み込んだ深い話ができるようになりました。私の場合、経理なので勘定科目について確認することが多いのですが、用途について詳しい話を聞いたり、実物を見せてもらうなどして情報の正確性も増しました」(福田さん)

上司とのコミュニケーションにも変化が生じたようです。
「(上司・部下の席が固定されていなので)フラットに話しやすくなり、その分上司と雑談する時間が増えた気がします。関係性を構築する上で雑談は重要だと思います」(土屋さん)
「昔はレイアウトの関係もあって、『話をするぞ』という決意をして、上司の席まで移動していました。PEC PARKになってからは、もっと気軽に相談できるようになりました。また、画面共有しながら話ができるので、正確で幅広い情報共有ができるようになりました」(福田さん)

インタビューの様子

工場・オフィスともに物理的な距離の近さや相手を視認できることが、心理的な距離の近さ(=話しやすさ)につながり、それがコミュニケーションの活発化につながっているのかもしれません。また、仕事の関わり、部署に関係なく従業員同士の繋がりが多方向に広がっていることが組織全体の活性化につながっているようです。

5.メリハリのある働き方で「いきいき・のびのび」

状況に応じてメリハリのある働き方ができることも、社員の「いきいき・のびのび」につながっています。
「オンライン・ミーティングや1人で集中したい場合、OASIS内の小スペースをよく活用しています」(中村さん)
「PEC PARKではOASISの小スペースができたので、こぢんまりとしたところでオンライン・ミーティングができるのは助かります。オフィスの窓際のテラス席も便利です。席では話しづらいときなど、テラス席でモニター見ながらとやりとりすることで、正確な情報共有や迅速な意思決定が可能となりました。以前だと、自室と会議室しか使える場所がなかったので、そのときそのときで使い分けできる場所が増えたのはありがたいですね」(土屋さん)

オフィスには会議室以外にも、3つのミーティングスペースがあり、それぞれ異なる色、家具を使用し、用途に応じて使い分けできるようになっています。
「緑、赤、白のミーティングスペースがありますが、まじめな話をしたいときや、何かを決定するときは椅子のある白、雑談レベルで話を聞いてほしかったり、よりカジュアルに話し合いたいときなどは、ゆったりくつろげるソファーが適しているので、ソファーのある緑や赤を使うようにしています」(土屋さん)
「人数が多いときには、一番席が多い赤が適していますよね。赤には小さなローラー付きの椅子もあるので、集まりやすいと思います」(福田さん)

OASISのRELAXエリア内に設けられた小スペース※ 左:OASISのRELAXエリア内に設けられた小スペース。一人で集中したり、オンライン・ミーティングにも使われる
※ 右:オフィスは自然環境からネーミングされた4エリア(Leaf、Sun、Ocean、Earth)に区分。

PEC PARKのコンセプトの一つでもある“自然との調和”を表し、オフィスに居ながら自然光やゆったりとした解放感が得られる工夫が施され、従業員はその日の気分で自由にデスクを選べる

フリーミーティングエリア※ 左:フリーミーティングエリア〈Leaf:緑〉、右:フリーミーティングエリア〈Sun:赤〉

フリーミーティングエリア※ 左:フリーミーティングエリア〈Ocean:白〉、右:窓際のテラス席。席で話がしづらい場合、使い勝手が良い

このように状況に応じて、さまざまなワーキング・スペースを使い分けできることが、一人ひとりの働きやすさをもたらしています。

6.自社への誇りが高まり「いきいき・のびのび」

PEC PARKには社員の自社への誇りが高まるようなポイント、イベントもあります。

「エントランスに展示されているスプリンターや社員の画像パネルを見れば、PECがどのような会社なのかを感じてもらえると思います」(福田さん)
「食堂(OASIS Dining)へ行くときに目に触れるHistory Boardで会社の歴史を知ることができました。日々通るところに設置されているので、だんだん興味を持つようになりました。会社の歴史を知ることで、より『この会社に入って良かった』と思えるようになりました」(福田さん)
「創業期のガラス管ヒューズの自動組立て機が設置されているスペースがあり、それが会社の歴史に興味を持つきっかけとなりました」(土屋さん)

社名サイン※ 左:社運を変える機会となった創業期のガラス管ヒューズの自動組立て機の展示
※ 右:ガラス管ヒューズをモチーフとして、敷地出入り口に設置された社名サイン

会長が大切にされていたことば※ :会長が大切にされていたことば、「先憂後楽」(右)と組み合わされた創立当時の社屋外壁のモニュメント(左)

エントランスホール※ 左:PEC製品を搭載した70年代スプリンターと、生き生きと働く社員の写真が設置されたエントランスホール
※ 右:オフィスと工場をつなぐFactory Roadに設置された、創業からの歴史を記したHistory Board

会社の歴史を知ることは、この会社で働くことの意味や価値の再発見を通して、社員の自社への誇り・愛着を高めているようです。

また、社員が家族など周囲の人に自分の会社を褒めてもらえることも、自社への誇りにつながるようです。
「子供と一緒にPEC PARKの近くを車で通るときに、『ママここで働いているんだよ』と言うと、『すごい』と言ってくれて誇らしく思えました。ファミリー・フェスタのような家族を連れてこられるイベントがあるのもいいですね」(水谷さん)
「母に『冬のイルミネーションが綺麗だね』と言ってもらえたのは嬉しかったです」(福田さん)
「親に『こんな職場だよ』と写真を見せたら、『すごいね』と言ってもらえました」(中村さん)

毎年クリスマスの時期に実施しているイルミネーションも地域のランドマークとしても定着しています。
「地域の人々から『大垣といえば太平洋精工のクリスマスイルミネーションだよね』って言ってもらえると嬉しいですね。そのように地域と繋がり、地域の人々から褒めてもらえることは、会社にとっても、社員一人ひとりにとっても、とても誇らしいことだと思います」(小川さん)

社名サイン※左:クリスマス時期のイルミネーションに彩られた社屋、右:ライトアップしたPEC GARDEN

「家族にも愛される会社」「地元から愛される会社」であることが、社員にとっても誇りとなっています。

7.まとめ

PEC PARKという空間づくりが、社員の「いきいき・のびのび」と密接に連動していることをご理解いただけたと思います。「人・組織づくり(ソフト)」を考慮した「空間づくり(ハード)」を行った点に、PEC PARKの活性化の秘訣があるように思います。

最後にPEC PARKの未来について、取締役の小川さんにお尋ねしました。

「PEC PARKという器に社員の皆さんが新しい水を供給し、PEC PARKのポテンシャルを引き出すことを期待しています。会社としてもそれを後押しして、PEC PARKが「新しい流れ」を生み出し続ける一助を担ってほしいと思います」(小川さん)

小川さん 水谷さん 中村さん 土田さん 福田さん

小川さん、水谷さん、中村さん、土田さん、福田さん、貴重なお話ありがとうございました。

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