(1)動画メッセージが軌道に乗るまで
池田さんは、社内のいろいろな役割の人への情報伝達ツールとして、この取り組みを始めました。
「当社はメーカーなので、いろいろな機能があります。オフィスで仕事をしている人もいれば、工場の現場の人もいるし、営業の現場の人もいる。いろいろな役割の人に何かを伝えるには、どういう方法がよいのかを考え、動画メッセージという方法を選択しました」(池田)
「元々予算が少なかったというのもあるのですが、全部自前でやったんですよ、自分たちでテーマを考え、原稿を作り、撮影して編集して配信するというのを自前でやりました。当初は社長しか出ないし、月1回配信するのが精一杯でした。」(吉野さん)
動画を観てもらうための工夫もありました。
「最初はしかめっ面で問題を提起していました(笑)。その反省も踏まえて、動画を観てもらうために、私自身が面白可笑しく、楽しむことを心がけました。たとえば、羽織袴を着付けて、街頭ロケを行ったこともありました」(池田さん)
(2)従業員参加型の社内情報伝達ツールとして定着
「最初の頃は堅いミッション・ビジョンの話でしたね。それ以外に企業紹介、部署紹介などもやっていました。一番人気だったのは新入社員紹介でした。今は新商品紹介の依頼が多いですね」(吉野さん)
「最初からいろいろな人に出てほしいと思っていたのですが、なかなか出てもらえませんでした。まず経営陣の世代が変わったタイミングぐらいからポツポツ役員の方が出てくれるようになり、それが今では従業員参加型となり、逆に社長があまり出てこないぐらいになっています。従業員が出るなんて、昔では考えられませんでした」(吉野さん)
「テーマもこちらで考える必要がなくなり、あの動画メッセージを作ってほしい、これを社内に配信してほしいという要望が増えました。以前は月1回の配信であったのが、今は週1回ぐらいの頻度となり、社内の情報伝達ツールとして定着しています」(吉野さん)
「動画メッセージ」が、社長のトップメッセージの配信中心から、従業員参加型の配信中心へシフトしたこと自体が、風通しの良い組織となったことの証かもしれません。