人づくり・組織づくり 2024.10.25 ネッツトヨタ南国株式会社様全社員の「人生の勝利」をビジョンとする組織のいきいき【2】 一番大切なことを一番大切にする経営(後半) #ボトムアップ #ホワイト企業大賞 #働きがい #全社員の幸せ #従業員調査 #日本経営品質賞 #理念浸透 #自発的行動 前半はこちら 【カンパニープロフィール】 高知に本店を置くトヨタ系自動車ディーラー。高知本店をはじめ3店舗を展開。日本全国のトヨタ販売会社(約280社)の中でお客様満足度No.1を12年連続して獲得しています。売上高63億円(2023年度)、従業員数約149名(2024年9月1日現在)。 ◆経営ビジョン (展望) 私たちネッツ南国は、お客様、地域社会に唯一無二の価値を提供します。 それは、自動車にまつわる領域に限らず、お客様や地域の幸福を増進するためのあらゆる問題解決を提供していくこと。 「なくてはならない」と語り継がれ、社会に善い影響の輪を広げる組織として、揺るぎなく存在し続けます。 そしてその過程を通じて、全社員の「人生の勝利」を実現していくことを私たちのビジョンとします。 ◆経営理念 (原則) ~全社員が人生の勝利者となるために~ 1. 自然の摂理を尊重し、原理を踏まえた組織を目指す 2. 倫理と道徳を重んじ、人間性尊重の企業を目指す 3. 社員の主体性と調和で織りなされる、「和」の風土を目指す ◆行動指針 (こころ構え) ~明朗快活な社員が集い、進化し続ける愉快な会社であるために~ ビジョンを経営理念に基づき実現するために、次の3つの指針に添って言動態を選択します 1. 真のお客様サービスを創造、実践します 2. 「考える、発言する、行動する、省察する」の成長サイクルを回し続けることで、社員が互いに人間性を磨き合い、人間としての器を大きくします 3. 志を同じくするパートナー企業と強く深く連携し、社会の繁栄に貢献するための協働を推し進めます 目次3.自ら考える社員の育成4.まとめ 3.自ら考える社員の育成 続いて、ネッツトヨタ南国の社員育成を紹介します。一般的に、社員を育成するために、「教える」ことを重視する会社が多いと思います。しかしながら、ネッツトヨタ南国では社員を育成するために、「教えない」ことを重視します。 「社員の成長」と「教えない風土づくり」というのは、一見すると矛盾しているようにも思われます。そんな疑問も抱きながら、謎を解明していきましょう。 (1)教えない風土づくりとは 「会社設立から最初の約10年間はなかなか車が売れず、業績が上がらない時代を過ごしました。人が育つ会社を作ろうという考えで、コツコツと遠回りをしました。その間にやったこととして、1日が終わったときに、上司も同席させて営業スタッフにインタビューすることをやり続けました」(横田さん) インタビューの内容を具体的に説明してもらいました。 「その人のその日の行動をA4の紙に書き出すというものです。営業、準備活動、雑用など仕事をいくつかに分類し、『朝何時に出社した?』『出社から朝礼まで何をしていた?』『外回りで誰のところへ行ったの?』『そこでどんな話をしたの?』のようにきめ細かくインタビューしていきました」(横田さん) ここからが「教えない風土づくり」の真骨頂です。 「ここで大事なことなのですが、この1日の過ごし方をインタビューしたら、『これじゃ車が売れないよね』ということが上司はわかるんです。車がちゃんと売れるような効率の良い動き方はしていないので、上司はその人の改善すべきところが10カ所ぐらいは見つかるんです。ただ、それをダメ出しして叱ったら、次回以降その営業スタッフは本当のことを言わなくなります。だからそれを言わないようにしました。ポーカーフェイスで1日の行動を聞かせてもらうことに徹します」(横田さん) 一般企業では新入社員のOJT指導について、ヒントを与えて本人に考えさせる指導を行う企業もあると思いますが、ネッツトヨタ南国の場合、ヒントを与えることもありません。 「ヒントは与えません。ヒントも与えてしまうと、誘導するでしょう。人はできるだけ自由じゃないといけないですね。1日振り返っただけで無駄なことがいっぱいあるわけです。『もっとこうしておけばよかったな』と本人が自分で反省しないかぎり、改善にはつながりません」(横田さん) この場合、経営者や上司の育成における役割は、「社員をひたすら見守り、自ら考えること待つこと」と言えそうです。 また、インタビューの実施方法にもポイントがあります。 「1日2人ぐらいまでのインタビューが限界だったので、インタビューする人はくじ引きで決めていました。だから誰が当たるかわからない。順番が決まってると、そのときだけ準備すれば済んでしまうので、ランダムに決めるというのが大事なポイントです。ランダムに決めることで、インタビューを受ける/受けないにかかわらず、聞かれたらスラスラと答えられるように、自身の行動を意識するようになります」(横田さん) (2)失敗を許容するが、共有しない 「教えない風土づくり」を行うと、当然ながら、社員は失敗することも多くなります。 「誰かの失敗を社内で共有するという会社は多いと思います。反対に、私が親しかった経営者の方は、失敗は隠せと言っていました。私たちは、失敗は共有しないほうが良いと考えています。その理由は、他の人が失敗するチャンスを奪ってしまうから共有しないようにしましょう、というものです」(横田さん) 「失敗するチャンスを奪ってしまうから、失敗を共有しない」という発想は、なかなか出てこないのではないでしょうか。 「失敗しないように根回しする。それをやり過ぎたら、社員のロボット化につながります。人は失敗するから成長します。成長する一番の原動力は失敗なんです。ところが日本の学校教育では、失敗しない人間を社会へ送り出すようになってしまっているので、失敗から学ぶというのは、あまり常識的じゃないかもしれませんね」(横田さん) 「失敗を許容することで、むしろ失敗しない人がどんどん増えていきます。失敗することで、本人が失敗しないように自分を変えていくわけです。それを組織が失敗しない人間を作ろうと考えてしまうと、社員がロボット化してしまうわけです」(横田さん) このように、「教えない風土づくり」と「失敗からの学び」がワンセットで、自ら考える社員の育成を実現させています。 4.まとめ 最後に、これまでのまとめも含めて、組織を変えたい経営者に向けて、ポイントを3つ挙げていただきました。 「第一に、組織に問題がある場合、何がうまくいかないのか、なぜうまくいかないのかを考える習慣を持つことですね。第二に、採用が一番大切ということです。大切だと思っていない人が圧倒的に多いなとつくづく思います。第三に、経営の量ではなく質を追い求めて、できるだけ遠回りをする。今すぐ良い結果を手に入れるのではなくて、将来を見据えて社員を成長させるということですね」(横田さん) 以上2回にわたって、ネッツトヨタ南国様の“いきいき”を紹介してきました。まさに最後に挙げていただいた3つのポイントを実践し、社員がうれしく働ける会社を実現していることをご理解いただけたと思います。経営者は問題対処ではなく、問題発見・解決が必要であることも含めて「横田式経営」は、いきいき組織を作りたい経営者にとって、学ぶべき点が多かったのではないでしょうか。 横田さん、貴重なお話ありがとうございました。
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