3.「知的資産の見える化」の進め方
知的資産の見える化の具体的な進め方を整理します。ここでは企業DNA(自社らしさ)の見える化を想定して説明します。
3-1. Step1:目的の明確化、対象の決定
最初のステップとして、「何のために知的資産の見える化が必要なのか」という目的を明らかにしましょう。目的が明らかになれば、「そのために何を(どの知的資産を)見える化すべきか」が導かれます。
(例)「企業DNA(自社らしさ)の見える化」の目的
「企業が大切にしてきた価値観を次世代にも継承したい」「言語化されていない自社らしさを言語化したい」「採用において自社の魅力が応募者に伝わらない」等
3-2. Step2:情報源・収集方法の決定
第2ステップとして、見える化の対象となる知的資産の情報源・収集方法を決めます。
(例)「企業DNA(自社らしさ)の見える化」の情報源・収集方法
3つの情報源・収集方法を想定してみましょう。
(1)既存資料
社史、社内報、パンフレット、メディア掲載、経営者の講演・講話等の過去の社内・社外資料から「自社らしさ」を抽出します。既存資料の中から自社らしさにつながる出来事やキーワードを抽出できるかもしれません。
(2)経営者・社員へのインタビュー
経営者や社員に対してインタビューを実施します。しかしながら、直接的に「自社らしさ」を質問しても回答しづらい可能性があります。その場合には、経営者・社員の価値観・思考・行動に影響を与えたであろう原体験(エピソード)を語ってもらうことが有効です。具体的には「自社らしさを感じた瞬間・出来事」「(自社らしさ埋め込まれているであろう)成功体験・成長体験」を語ってもらいます。
(3)ワークショップの開催
社員の場合、インタビューの代わりにワークショップを開催することも効果的です。社員同士が自社らしさを感じた出来事や自らの成功・成長エピソードを語り、互いに共有した上で、自社らしさを抽出します。また、ワークショップ自体が自社らしさをテコにした一体感の醸成の場となります。
3-3. Step3:情報収集・整理・分析・編集・加工
第3ステップとして、実際に情報を収集し、その情報を整理・分析し、さらにアウトプットしやすいように編集・加工します。
(例)「企業DNA(自社らしさ)の見える化」の情報収集・整理・分析・編集・加工
ステップ2で述べたような方法で情報収集し、その情報を整理・分析すること「自社らしさ」の要素を抽出します。さらに最終成果物も意識しながら、アウトプットしやすいように要素を「概念化」「教訓・フレーズ化」「物語・エピソード」のように編集・加工します。