(2)クアルトリクス合同会社、パーソル総合研究所の調査結果
米国クアルトリクスの日本法人、クアルトリクス合同会社の日本における「働く人の実態・意識調査」(2025年8月4日発表)によれば、日本における「静かな退職者」の比率は13%という結果が報告されています。
※ここでは継続勤務意向は高く、自発的貢献意欲が低い人を「静かな退職者」と定義
(出所)クアルトリクス合同会社プレスリリース
株式会社パーソル総合研究所2017年より継続して実施している「働く10,000人の就業・成長定点調査」のデータに基づけば、調査対象者全体に占める「静かな退職者」の割合は、2025年で5.8%となっており、2017年(3.9%)との比較で約1.5倍となっています。
※ここでは残業時間、転職意向、就業観の調査データから「静かな退職者」を定義
(出所)パーソル総合研究所コラム「定点調査から見える「静かな退職」の動向 ~背景に潜む3つの就業変化~」(2025年06月12日公開)
(3)あなたの会社の「静かな退職者」はどれぐらいか
(1)と(2)の調査結果にかなりのギャップを感じるかもしれません。クアルトリクス合同会社やパーソル総合研究所の調査は、いくつかの項目の回答結果に照らして、「静かな退職者」を厳密に定義しているため、「静かな退職者」の比率が相対的に低い数値になっていると思われます。一方、マイナビの調査結果は、「静かな退職」の簡単な定義を示した上で、その状態であるか否かを回答させているため、「静かな退職」状態を拡大解釈しやすくなり、相対的に高い数値になっていると思われます。
この結果から、仮に社員が100人いるとすれば、少なく見積もっても5~6人、多めに見積もれば40名以上の「静かな退職者」が存在している可能性があると説明できます。
一定数以上の従業員を雇用する企業であるならば、「静かな退職」という課題は決して他人事ではないといえるでしょう。「静かな退職者」は、その呼称のように自らそれを表明することはほとんどない目立ちにくい存在です。しかしながら、確実に自社にも存在すると考えるのが現実的ではないでしょうか。