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次世代リーダー育成

いきいき組織紹介~太平洋精工株式会社 様
「新しい流れプロジェクト」~次世代リーダーの実践的育成~【2】

太平洋精工株式会社様 「新しい流れプロジェクト」~次世代リーダーの実践的育成~(2)

太平洋精工株式会社様(略称:PEC)の「新しい流れプロジェクト」から次世代リーダーの実践的育成について掘り下げる2回シリーズ。第1回ではメンバーのプロジェクトへの参加意欲を高める打診の仕方、会社を変える取り組みからの学び、チームビルディングの経験からの学びについて整理しました。

第2回では、プロジェクトの副次効果といえる参加メンバーのヨコのつながりの強化、プロジェクトを通した自身の見つめ直し、参加メンバーが目指す人材像などを紹介します。

【カンパニープロフィール】
1961年設立。岐阜県大垣市に本社を置き、自動車用ヒューズのリーディング・カンパニーとして国内・海外でトップクラスのシェアを誇る太平洋精工株式会社様(略称:PEC)。海外にも生産・販売拠点を持つグローバル企業であり、自動車用ヒューズ以外に精密金属プレス加工・金型製作も行っています。2025年3月期の売上高(単体)265億円、2025年3月31日時点での国内従業員数446人(グループ全体1049人)。

<ビジョン:PECが未来に向けて持ちつづける志>
独創性を追究し、安全・快適なクルマ社会の「新しい流れ」を創りつづけます

(インタビューへのご協力)
営業本部 購買グループ 購買チームチーム長 伊藤 里恵さん(1期生、画像一番左)
営業本部 営業グループ LV営業チーム 髙島 亜希子さん(2期生、画像左から二人目)
HV事業本部 技術グループ 工程チーム 橋本 健治さん(3期生、画像中央)
HV事業本部 製造グループ 製造チーム 柳瀬 光秀さん(3期生、画像右から二人目)
営業本部 営業グループ HV営業チーム 堀 紘通さん(3期生、画像一番右)
※所属部署・役職はインタビュー当時のものです。

プロジェクトの副次効果

(1)1期メンバー、2期メンバーのヨコのつながり

1期メンバーの伊藤さんの言葉に、ヨコのつながりを持つ重要性が凝縮されています。

「プロジェクトで社内のいろいろな部署の人と接点ができ、関係性を構築できたことが今も役立っています。私は営業から購買に異動となり、より幅広い部署とコミュニケーションをとる必要があるのですが、プロジェクトで形成した人脈があることで、何かあればいろいろな部署に点在するメンバーに、気さくに声をかけて、本音で話すことができています。現場でトラブルが発生しても、そういった関係性があることで円滑に解決できたり、通常であれば入ってこない情報を入手できたりなど、ヨコのつながりが活かされています。」(伊藤さん・1期生)

伊藤さん・1期生

「社内に自分が所属する部署とは別の拠り所ができた気がします。自分の部署では語れないことも話せますし、部署内のメンバーのみで話し合っても出てこないような仕事のアイデアを持っているので、それで助けられたこともあります」(伊藤さん)

2期メンバーの髙島さんの場合、2期は以前から知り合いのメンバーが多かったため、プロジェクトで初めて接点ができたわけではありませんが、知っているメンバーだからこそ刺激を受けた部分があるようです。

「2期生は、同期や年齢の近いメンバーなどプロジェクト以前からの知り合いが多かったのですが、プロジェクトの中で、今まで一緒に仕事をしているときに気づかなかったその人の強みや、昔から知っている人の成長した姿に接することができたのが印象的でした」(髙島さん・2期生)

髙島さん・2期生

(2)3期メンバーのヨコのつながり

3期メンバーの堀さん、橋本さん、柳瀬さんは、ヨコのつながりができたことによる仕事のしやすさ、安心感があるようです。

「横のつながりの数が増えたのは、嬉しいですね。たとえば営業のことで何かあれば、堀さんを経由して営業の人を紹介してもらえる。各部署に知っている人ができて、そのワンクッションがあることの安心感で、他部署と関わりやすくなった気がします」(橋本さん・3期生)

橋本さん・3期生

「私は(中途入社のため)入社から日が浅いので、同じ部署の社員としか接点がありませんでした。プロジェクトを通して、いろいろな部署の人と接点ができたことは心強いし、安心感が増した気がします。会社を見る視野が広くなりました」(柳瀬さん・3期生)

柳瀬さん・3期生

第1回でも述べたように、同じ部門の同じような価値観・意見のメンバーで議論するよりも、多様な価値観・意見を有する部門横断的なメンバーで議論する方が選択の幅が拡がり、斬新なアイデアが生まれやすくなります。

プロジェクトで形成されたヨコのつながりがプロジェクト終了後も継続されることで、部門横断的なTMSを活用した「知のコラボレーション」に取り組み、そこから斬新なアイデアが生まれる可能性があります。これは「新しい流れプロジェクト」が目指したボトムアップ型の組織文化につながるものです。

その意味で、プロジェクトで獲得した部門横断的なTMSは、次世代リーダーを担うメンバーにとっての大きな財産と呼べるでしょう。

堀さん・3期生

(3)ヨコのつながりの効果~部門の枠を超えた「知のコラボレーション」

ヨコのつながりが強化されるメリットを、マネジメントの観点から補足しておきます。

各メンバーが指摘するように、プロジェクトで他部署とのメンバーとの接点ができることは、「営業のことはAさんに聞けばいい」「製造のことはBさんに聞けばいい」といった人脈マップを各メンバーが獲得したことを意味します。

こうした人脈マップの活用をマネジメント分野では、「トランザクティブ・メモリー・システム(TMS)」と呼びます。トランザクティブ・メモリー・システム(Transactive Memory System, TMS)は、「組織やチームが『誰が何を知っているか(who knows what)』を共有し、知識を効果的に活用する仕組み」と定義できます。

一般的に、TMSは部門内・部署内での活用を想定する場合が多いのですが、本プロジェクトのメンバーは部門横断的なTMSを獲得・活用できる点が特徴的です。

部門横断的なTMSの獲得・活用

第1回でも述べたように、同じ部門の同じような価値観・意見のメンバーで議論するよりも、多様な価値観・意見を有する部門横断的なメンバーで議論する方が選択の幅が拡がり、斬新なアイデアが生まれやすくなります。

プロジェクトで形成されたヨコのつながりがプロジェクト終了後も継続されることで、部門横断的なTMSを活用した「知のコラボレーション」に取り組み、そこから斬新なアイデアが生まれる可能性があります。これは「新しい流れプロジェクト」が目指したボトムアップ型の組織文化につながるものです。

その意味で、プロジェクトで獲得した部門横断的なTMSは、次世代リーダーを担うメンバーにとっての大きな財産と呼べるでしょう。

ヨコのつながりの効果~部門の枠を超えた「知のコラボレーション」

2.プロジェクトを通した自身の見つめ直し

これまで述べてきた論点以外から、メンバーの成長を紹介したいと思います。

(1)価値観の再構築~「テーブル下の会話」をテーブルの上にあげる

本プロジェクトで参加メンバーに期待していることの1つが、自分起点で事を起こし、働きかける主体性の発揮です。そういった観点から自身の成長を語ってくれたのが橋本さんです。

特に印象に残っていることとして橋本さん(3期生)が挙げていたのが、「テーブル下の会話」という言葉です。
「あるセッションでの講義の中で、心の内側だけでつぶやいていて全体には伝わらない『テーブル下の会話』という言葉を知り、自分の考え方を改めるきっかけになりました。それまで日常業務の中で何か問題だと思うことがあっても、上に問題提起せずに、仲間内で文句を言ったり、愚痴ったりで終わっていました。まさに『テーブル下の会話』でした。しかし、その講義以降は、できるかどうかは別にして、何か問題があれば、決定権がある人たちに自分の声を届けようと思うようになりました」(橋本さん)

「そのタイミングで、日常業務でも他部署と関わる仕事を任されることが増えてきました。その場合でも横のつながりを強化するためには、自分が声を出さない限り相手に絶対伝わらないということを意識しながら、他部署とコミュニケーションをとるようにしています」(橋本さん・3期生)

テーブルの下の会話からの脱却

それ以外にも、プロジェクトを経験して仕事のスタイルに変化が生じたそうです。

「これまではすべて自分で仕事をこなしていて、誰かに仕事を振ることはありませんでした。しかしながら、最近は任せられる仕事は他者に任せることにしています。みんなで協力して1つのゴールを目指す『新しい流れプロジェクト』の経験が役立っています。以前は上司からも『仕事を人に振ることができない』と注意されていたのですが、最近の上司との面談で『ちょっと変わったな』と言われて、自分の考え方や仕事の仕方が変化しているのを実感しています」(橋本さん)

「任せるときには、相手が嫌な気持ちにならないように、『忙しいと思うけど、これを手伝ってもらえると助かるな』のように伝えています。お互いがポジティブになれるような任せ方を心だけています」(橋本さん)

このように相手の気持ちを考慮した任せ方ができているのも、橋本さんの成長の証ではないでしょうか。

「良い意味で、プロジェクトは自分の固定観念を壊してくれたと思います。研修やセッションを通して、いろいろな物事の見方があることを知り、今までの価値観が少しずつ壊れて、今は再構築していく段階だと考えています。社内で次世代のリーダーになるためには、技術職として専門分野に磨きをかけるだけではいけないと思っていて、その意味で自分を見つめ直せる機会になっていると思っています」(橋本さん)

(2)プロジェクト参加で飛躍的にスキルアップ

3期メンバーの柳瀬さんは、プロジェクトの相談役であるダイレクターや、セッション運営を支援したファシリテーターからも、プロジェクト期間中に大きく成長したメンバーとして名前が挙がっています。

柳瀬さんは工場での現場業務が中心であったため、プロジェクトに参加するまでPCを使ったことがなく、PCスキルもプロジェクト期間中に習得しました。そこには自助努力に加えて、他メンバーによる献身的なサポートもありました。

「チームのメンバーの中で、私だけPCスキルゼロからのスタートだったので、その部分を吸収していくのがとても大変でしたが、みんなが忙しい中でも丁寧にサポートしてくれたことに感謝しています。以前は設備のオペレーターが仕事の中心でしたが、今ではPCを用いた業務や人の管理などもやらせてもらっています」(柳瀬さん)

PCスキルに加えて、コミュニケーションや論理的思考のスキル向上も柳瀬さんを大きく変えたようです。

「プロジェクトで得たものはたくさんありますが、中身のある会話をすることができるようになったことも大きいですね。講義の中で論理的に話すことを教えてもらい、それが役立っています。今までは設備に不具合が生じたとき、『設備がトラブりました』みたいな報告だったのが、何が、どういう状態になっているのかを筋道立てて話すように努めています」(柳瀬さん)

こうしたスキルアップも後押しして、リーダーとしての自覚も高まっているようです。

「最近、自分の部署でQC活動をやり始めて、そのリーダーを務めていますが、そこでも話し方や意見の引き出し方などプロジェクトで学んだことを、資料も見返しながら活かしています」(柳瀬さん)

柳瀬さんの部署のグループ長であり、ダイレクターも務めた藤原さんから、柳瀬さんの成長についてコメントをいただきました。

「プロジェクトに参加したことで、リーダーとしての自覚が芽生えたと思います。プロジェクトのチーム内で徐々に頭角を現し、チームのまとめ役を務めるようになりました。今では自分の部署のQC活動のリーダーも任せています。以前からQC活動をやらないかと話を持ちかけていたのですが、強制はしていませんでした。それがあるとき、『藤原さん、やりましょう』と言い始めてくれました。嬉しかったですね。これもプロジェクトの成果と呼べると思います」 (藤原さん)

リーダーとしての自覚が芽生える

「以前の仕事は同じことの繰り返しという印象でしたが、今は毎日違うことが起きるので、刺激が多くて楽しいですね」(柳瀬さん)

(3)自分らしいリーダーシップの発揮

1期生の伊藤さんは、プロジェクトの中で自分に合ったリーダー像を模索し、その糸口を見つけたようです。

「『リーダーはどういう存在であるべきなのか』ということが、自分でもわからなくなってしまっていたところがあったので、プロジェクトをやりながら、『旗振りするだけがリーダーではない。他者を支える側という立場でも、周りの意見を上手に吸い上げて、方向性を決めていくことでリーダーとしての存在価値が発揮できる』ことを学び、自分に合ったリーダー像というのを少しずつ形成できたように思います」(伊藤さん)

自分に合ったリーダー像を模索する

「今はチーム長という立場になりましたが、チームのメンバーに気持ちよく動いてもらうためには、リーダーとしてどう立ち振る舞うべきかというところで、プロジェクトでの経験を活かせているのではないかと思います。プロジェクトの中で、今までの自分のやり方以外の視点で物事を考えることの大切さを学んだので、下の人たちの意見も聴きながら、チームをまとめていくことを心がけています」(伊藤さん)

上記のように、伊藤さんは自身のリーダーシップの発揮において「傾聴力」を重視しています。今回、別記事のために本プロジェクトのダイレクターにも取材しましたが、そこでも若手メンバーの話を傾聴する大切さを実感したという話が出てきました。「傾聴力」はこれからのリーダーに求められる重要スキルといえるでしょう。

本プロジェクトは次世代リーダーの育成を目指すものです。その意味で伊藤さんのように、自分らしいリーダーシップ・スタイルを模索したり、試したりする場としてプロジェクトを活用すべきでしょう。

プロジェクト全体像の詳細を知りたい方は、こちらの別記事をご参照ください。

太平洋精工株式会社様 「新しい流れプロジェクト」支援
~会社を変える次世代リーダーの育成~

3.参加メンバーがこれから目指す人材像

今回インタビューした5名全員に、自身が今後どのような人材・リーダーになりたいのかを尋ねしました。

参加メンバーがこれから目指す人材像

「この会社にいるからには、今のポジションに満足することなく、まだまだ上を目指していきたいと考えています。 その中でまだまだ自分が足りていない部分、未熟な部分があると思うので、上司や周りの人たちから学びながら、成長し続ける自分でありたいと思っています」(伊藤さん)

「みんなが納得感を持って、同じ思いを共有するワンチームを実現し、牽引するようなリーダーになりたいですね。海外赴任の経験も活かして、国内だけではなく海外販社なども含めたワンチームを支えられるリーダーを目指します」(髙島さん)

「自分の取り組む姿勢で下を引っ張っていけるようなリーダーになりたいです。そのためには自分の得意な技術の部分で違いを見せられるようなれたらと思っています」(橋本さん)

「自分の目標、信念を持って、そこに向かってブレずにやっていきたいと思います」(柳瀬さん)

「どんな使命感を持っているのか、モチベーションの源泉は何か、何がしたいのかということは人によって異なると思うので、それを理解して、汲みとっていけるリーダーになりたいですね」(堀さん)

4.第4期メンバーに向けたメッセージ

最後に、第4期メンバーに向けたメッセージをいただきました。

「中途半端感で終わらせるのは面白くないと思います。やるならとことん自分たちの納得するところまで行き着くってことが、物事をちゃんとコンプリートできたよねという達成感につながると思います。その意味でも、途中で壁に直面したり、周りとうまくいかないときがあるかもしれませんが、最後まであきらめずにやり切ってほしいと思います」(伊藤さん)

「どこかで躓くかもしれませんが、みんなが本音で話せば、打開策が見えてくると思います。その意味で、深いところまで話せるようなチームになっていくこが一番大事だと思います。仮に意見がぶつかっても、それはチームが成長する好機だと思ってください」(髙島さん)

「プロジェクトに興味を持って参加すれば、どこかで自分の殻を破るタイミングがきて、それをきっかけに成長できるはずです。恥ずかしがらずに自分をさらけ出すようになったほうが活動が充実すると思います」(橋本さん)

「必ず何か行き詰まることがあると思いますが、ちゃんと本音で話し合えることが大事だと思います」(柳瀬さん)

「『苦しい瞬間を楽しもう』と伝えたいですね。苦しい場面や困難な場面に直面するかもしれませんが、それが意味があることだということに、後から気づくはずです。その意味で、苦しいことでも楽しむという気持ちを持っていることが大事だと思います」(堀さん)

このプロジェクトの楽しみ方、乗り切り方が5人のメッセージに詰まっていますね。

以上、2回にわたって、太平洋精工株式会社様の「新しい流れプロジェクト」の参加メンバーへのインタビューから、次世代リーダーの実践的育成について掘り下げてみました。各メンバーがプロジェクトの経験からリーダーに求められるものを学び、自分のキャリア・業務に活かそうとしている様子が伝わったのではないかと思います。

5名の参加メンバーに加え、ダイレクターの西口さん(画像右から二番目)、藤原さん(画像一番左)、事務局の古町さん(画像一番右)も一緒に

※5名の参加メンバーに加え、ダイレクターの西口さん(画像右から二番目)、藤原さん(画像一番左)、事務局の古町さん(画像一番右)も一緒に

伊藤さん、髙島さん、橋本さん、柳瀬さん、堀さん、貴重なお話ありがとうございました。

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