2-1 女性社員研修の背景・概要
ニッパツサービス様は、ニッパツグループの中でも女性社員の比率が高い会社です。その一方で、その女性社員の能力をもっと引き出せるのではないか、という問題意識がありました。
「人材がいるのに女性をきちんと活かしていないと感じました。そこで初めての試みですが女性社員研修を企画してみようと思いました」(辻常務)
「“ご機嫌な私”ワークショップ」というタイトルが付けられた研修は、参加者同士の対話・ワーク中心の「ワークショップ型」で、女性社員が元気でご機嫌に、それぞれの能力を遠慮することなく発揮することを重視したプログラムとなりました。研修は全5回(2021年11月~2022年4月、第1回は集合研修、第2回以降はオンライン研修)、27名が参加しました。
女性社員研修「“ご機嫌な私”ワークショップ」の詳しい内容はこちら
参加者目線で考えた場合、研修とは仕事に役立つ知識・スキルを「教えてもらう場」というイメージが強いかもしれません。その点、「“ご機嫌な私”ワークショップ」はそのようなイメージとはかなり異なる研修となりました。
特徴1:参加者同士の相互理解を深める「交流の場」
第1回の集合研修では、参加者同士の交流に多くの時間を割きました。その背景にはニッパツサービス様は部門が多く、部門が異なれば同じ会社の女性社員同士であっても顔を合わせて会話する機会も少なく、名前だけかろうじて知っているといった関係も多いということがありました。
具体的には、各職場の仕事と仲間を紹介する「職場紹介」やグループに分かれての自己紹介を実施しました。お互いを知ることで参加者同士のつながりが強まると同時に、のびのびと対話・ワークに取り組める雰囲気が醸成されることになりました。
特徴2:参加者がグループで会社に対する提案を作成・発表する「プレゼンの場」
第2回以降(オンライン研修)は、自分たちの発案でテーマを決め、各テーマについて会社に対する提案を作成し、発表をするプログラムでした。
働き方、職場環境、業務効率化などに関する7テーマが設定され、グループワークでプレゼンテーションの準備を行いました。発表会は上層部に対してプレゼンを行い、それまで会社に要望したり、意見を言う機会があまりなかった参加者にとって貴重な経験となりました。
全5回、主体性が求められる研修でしたが、参加者は大変ながらも、楽しんで取り組み、プレゼンにチャレンジし、仲間と1つのものを作り上げた達成感を得たようです。
「仕事そっちのけで熱中しましたと言う参加者もいました(笑)。熱中したっていうことは、それだけ面白かったのでしょうね。疲れるほど頑張ったということでしょう」(辻常務)
研修後の参加者の意識・行動の変化を尋ねたところ、「(自分目線ではなく)視座を挙げて会社目線で物事を考えられるようになった」「何かあれば『誰かがやってくれる』ではなく『自分が変えていく』という意識を持つようになった」「多様性への理解が深まり、『みんな違って当たり前』という見方が身についた」といった声があり、この研修がめざしたゴールに到達できています。
社長就任が2022年4月であり、発表会(2022年3月の第4回)を聞くことができなかった鈴木社長も、就任後に発表会の充実ぶりを聞き、第5回の振り返りにオブザーバーとして参加しました。
「女性社員たちの非常にのびのびとした感想を聞くことができて、とても良かったです。経営陣も女性社員の持つポテンシャルを再認識できたのではないかと思います。また、ニッパツサービスは事業がたくさんあるために、異なる事業間では社員同士の接点が少ないという状態でした。それを踏まえると、仲間であることをお互いに認識できる場としての集合研修の必要性も感じました。仲間とのつながりを感じることができないと、愛社精神も持ちづらいですからね。コロナ禍だったので余計にそう感じました」(鈴木社長)