2.マイパーパスの明確化のメリット①エンゲージメント向上
いきいき組織づくりを考える場合、マイパーパスの明確化がエンゲージメント向上に寄与する点に着目すべきでしょう。
ここでは「キャリアオーナーシップ」「パーパス(経営理念)とマイパーパスの重なり」という視点から、マイパーパスのエンゲージメント向上への寄与を説明します。
2-1. キャリアオーナーシップとマイパーパス
労働市場の流動化が高まり、「転職することは当たり前」になった今日において、自律的にキャリアを形成する「キャリアオーナーシップ」という考え方が重視されるようになりました。
終身雇用や年功制を背景に、個人のキャリアを企業に依存していた時代から、個人が自分主導でキャリアを切り拓いていく時代にシフトしてきています。
キャリアオーナーシップは、個人・企業の双方にとって意義があります。個人はキャリアオーナーシップを持つことで、自分らしいキャリアや働き方を実現しやすくなります。一方、企業は個人のキャリアオーナーシップを支援することがエンゲージメント向上につながります。
2020年5月に経済産業省から公表された、人的資本経営のガイドラインと呼べる『持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会報告書(人材版伊藤レポート)』には、以下のように記述されています。
「企業は、画一的なキャリアパスを用意するのではなく、多様な働き方を可能にするとともに、働き手の自律的なキャリア形成、スキルアップ・スキルシフトを後押しすることが求められる。」
「個人は、キャリアを企業に委ねるのではなく、キャリアオーナーシップを持ち、自らの主体的な意思で働く企業を選択することが求められる。同時に、人生100年時代の中で、社会で活躍する期間が長くなることも見据え、社会人になった後も継続的な学び直し、時代にあったスキルセットを身につけることが求められる。」
(出所)経済産業省『持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会報告書(人材版伊藤レポート)』(2020年5月)
マイパーパスはキャリアオーナーシップと密接に関係しています。
マイパーパスが明確であれば、それが自らのキャリアの方向性を決める重要な指針となります。その結果、キャリアオーナーシップが強化され、自分らしいキャリアを築きやすくなります。言い換えれば、自律的にキャリアを形成するためには、自ずとマイパーパスを自問自答する必要があるといえます。
整理すると、マイパーパスを明確化することで、個人のキャリアオーナーシップが強化され、それを企業が支援することで従業員のエンゲージメントが向上する、という図式を描くことができます。